今年の京大入試(6番)で次のような出題がありました。
n は3以上の整数とする。1 から n までの番号が書かれたn枚の札が袋に入っている。ただし、同じ番号が書かれた札はないとする。この袋から3枚の札を同時に取り出し、一番大きな番号を X とする。X の期待値を求めよ。
これとそっくりな問題が「最短でマスターする数学」に載っています。
数字の 1 が書かれたカード、2 が書かれたカード、・・・、n (n≧4) が書かれたカードが各 1 枚ずつ合計n枚のカードがある。ここから4枚のカードを同時に取り出すとき、取り出された4枚のカードに書かれた数字のうち2番目に大きい数字を X とする。X の期待値を求めよ。
解答の作り方もほぼ同じなので、京大を受験した生徒からは「笑ってしまった」という報告を受けました。
予備校等では、使用しているテキストなどの中に入試で出題された問題に近いものが含まれることを「的中」と表現し、宣伝の材料にします。要するに、予備校が入試問題をよく研究していることを示すような内容だということです。
しかし実は、もう1問、よく似た問題(4番)が出ました。
平面において、次の条件*を満たす正三角形の1辺の長さの最小値を求めよ。 *1辺の長さが1の正方形であって、4つの頂点がすべてその正三角形の内部または辺上にあるようなものが存在する。
これは、塾の演習1というクラスで使ってる次の演習問題とほぼ同じです。
AB=a, BC=b である長方形ABCDと、これに外接する正三角形PQRがある。(AはPQ上、BはQR上、DはRP上にあり、Cは三角形PQRの周上または内部にある)∠BAQ=θ とおくとき、次の問いに答えよ。 (1) 正三角形の1辺の長さ y を求めよ。 (2) y の最大値および最小値を求めよ。
見た目は多少違いますが、要求されている内容および、解法は一致しています。
もちろん塾では、生徒に本番で問われることに対応できる力を付けてほしいと願いながら演習問題を選んではいますが、これほど近い問題が出たのは初めてです。
しかも2問も!
それはそうとして、今回は確率に関連するお話をしようと思います。
まず、「3枚の札を同時に取り出す」と「3枚の札を連続して取り出す」は同じでしょうか?
違うのではないか、と思う生徒が一定数いますが、これらは同じ作業です。同時に取り出したと思っても、横から写真判定すれば、微妙な順位が付いているはずなので、「同時に3枚」と「連続して3枚」は同じだということです。
次に、10本のくじがあり、そのうち3本が当たりくじであるとします。これを10人の人が順に引いていくとしたとき、1人目が当たりくじを引く確率は 3/10 ですが、2人目が当たりを引く確率はいくらでしょうか?
1人目が当たった場合と外れる場合があるので、3/10・2/9+7/10・3/9=3/10 で1人目が当たる確率と同じになります。
では3人目、4人目、、、はどうでしょうか?
どんどんと計算が複雑になるので、10人目などは調べる気にもなりません。
しかし、1人目と10人目に有利不利の差があるはずはなく、何番目に引いたとしても当たる確率は 3/10 になるはずだと思いませんか?
これについて考えてみましょう。
当たりくじを〇、外れくじを✕として、考え得るくじの出方を列挙してみましょう。
〇〇〇✕✕✕✕✕✕✕、〇〇✕〇✕✕✕✕✕✕、・・・、✕✕✕✕✕✕✕〇〇〇
そうすると、これはくじを1列に並べる並べ方を列挙したものと同じであることが分かります。 そして、くじのどの出方も同様に確からしく起こるのと同じで、どの並べ方も同じ確率で並ぶことが確認できます。
つまりこれは、「まずくじをでたらめに1列に並べておき、それを左から順に引いて行く」という状況下で考えてもよいことを意味しています。
では、10番目の人が当たりくじを引く確率を計算してみましょう。
くじの並べ方は、10個の場所から3個の当たりくじのための場所を選ぶ選び方を考えて、全部で10C3 通りです。そのうち一番右、すなわち10番目の人が引くところに当たりくじが並んでいるような並べ方は、一番右の当たりくじ以外の2個の当たりくじのための場所を残る9個の場所から選ぶ選び方の 9C2 通りあるので、10番目の人が当たりくじを引く確率は 9C2/10C3=3/10 となります。
よかったですねぇ!
くじは何番目に引いても平等だったのです。
ただし、誰かが1本でもくじを引いたら、この平等性は崩れます。その人が当たりくじを引けば、次の人のチャンスは減り、その人が外れくじを引けば、次の人のチャンスが拡大されるということです。
最後にもう一度、京大の問題を見てください。
n は3以上の整数とする。1 から n までの番号が書かれたn枚の札が袋に入っている。ただし、同じ番号が書かれた札はないとする。この袋から3枚の札を同時に取り出し、一番大きな番号を X とする。X の期待値を求めよ。
期待値というのは、「平均的に考えて、取り出した3枚の札のうち一番大きな番号は何番だろうか」ということを尋ねているということです。
つまり、小さな方から 1、2、3 が出るなどという出方は偏りすぎていて「平均的」ではないということです。
じゃあ、どんな出方が平均的でしょうか?
取り出した3枚以外の n-3 枚の札の番号が、3枚の札の番号の間および両端に同数だけあれば平均的ではないでしょうか。
ということで、n-3 を 4 等分して (n-3)/4 枚を3枚の間と両端に挟み込むと、3枚に書かれた数字のうち一番大きな数字は 3×(n-3)/4+3=3(n+1)/4 となり、これが求める答えになっているはずです。
今回は京大の入試問題を題材に、確率について考えてみました。

