数学の問題は何らかの条件設定があり、それを元に何かの値を求める、あるいは何かを証明するといった結論を導くことが要求されます。要するに「条件」と「結論」を結ぶことを「問題を解く」と呼んでいるのです。
この「条件」と「結論」の距離が近い問題を標準問題と言い、受験生として知っておくべき知識と技術を持っているかどうかが問われます。
ごく一部の例外を除く国公立大学の入試問題は基本的に標準問題で、その問題を解くための知識と技術があればすぐに方針が立つようになっています。
それに対して京大・東大および東京科学大学、京都府立医科大学の問題は例外で、問題文を一読しただけではなかなか方針が見えてきません。
「条件」と「結論」の距離が遠いからです。距離が遠い形態にはいくつかのパターンがあり、条件設定が複雑、問われている内容が抽象的で意味が分かりにくい、結論がぼかされていてどこに向かえばよいのかがはっきりしないなどがあります。
この場合、図をたくさん描いて状況把握をするとか、具体例で調べることにより法則性を見抜き、それを一般化するといったような問題文を読み解くための調べる能力が必要になります。
多くの受験生はこれを難しいと感じます。特に東大の問題は難しく、たとえば神戸大学の問題で満点が取れるようになった生徒でも、東大の問題だと2割も得点ができないということが起こります。
では、どうすれば京大・東大の問題が解けるようになるでしょうか。
演習の第二段階が必要です。
入試で問われる知識と技術を完成させるための演習を第一段階と呼ぶならば、その土台の上で京大・東大型の入試問題を読み解くための第二段階の演習をしなければなりません。
第一段階では知識を増やすことが重要だったわけですが、第二段階では目標が変わってきます。知識を深めることは重要であっても、知識を増やすこと自体は目標にはならないということです。
そうではなく、問題文を読み解き、持っている知識が使えるようになるところまでたどり着く能力、すなわち「調べる」能力が要求されるのです。
多くの受験生は演習の第一段階を受験勉強だと考えていますが、それに引き続き第二段階が必要だと分かったところで、それぞれの演習にどのぐらいの期間が必要であるかを書いておきます。
まず、京大・東大に合格している平均的な受験生が第二段階の技術を身につけるのに約1年かかります。
第二段階を始める前に第一段階を終えておくのがよいことを考えると、第一段階は高2生が取り組むことになるのです。ところが、高2生と高3生では受験を身近に感じている度合いがまるで違います。それに、高2生はクラブ活動の中心的役割を担っていたりするので、受験勉強だけに集中することができません。結果として、第一段階にも約1年かかることになります。
そうすると、2年間の演習期間を確保するのが望ましいということになり、高1終了時に高校課程を修了するのが理想的だということになります。
以前の投稿で、授業効率を上げることについて触れてきましたが、授業効率が2倍になれば、「高1終了時に高校課程を修了」が可能になります。
ただ、高校受験をして高1から高校数学を始める場合は少しイレギュラーなので、補足しておきます。
この場合、2倍の進度で進んだとして、高1終了時には数ⅠAと数ⅡBを学び終わっていますが、数ⅢCは残っています。
ところで、数ⅢCとは何でしょうか。
まず、数ⅠAが高校数学の理論部分で、数ⅡBは数ⅠAの上に立つ技術的な部分です。数ⅡBは三角関数、指数・対数関数、数列、ベクトル、図形と方程式、微分・積分といった独立性の強い各論からできており、覚えるべきことが多いのも特徴です。
このうち、微分・積分は特に分量が多く、数ⅡBの中に収めることができなかったので、2次関数と3次関数の微分積分を数ⅡBに残し、その他一般関数の微分・積分を数Ⅲと呼び、複素数平面などを加えて数ⅢCとし、数ⅡBから分離したのです。そういう意味で、数ⅢCとは数ⅡBの一部だということもできます。
また、数Ⅲは主に三角関数、指数・対数関数の微分・積分ですから、三角関数、指数・対数関数をしっかり理解していればスムーズに飲み込むことができ、極限も数列が基礎、複素数平面もベクトルの応用ということで、数ⅡBが強ければ数ⅢCは順調に進み、数ⅡBが弱ければ数ⅢCも苦戦するという傾向があります。
以上を考慮して、高1で数ⅡBまで終われば、高2の前半で数ⅡBの演習を行い、数ⅡBがしっかりしてきたところで高2の後半で数ⅢCをするのがよいと考えています。
そうすれば、数ⅢCも詰まることなく学ぶことができ、高2の後半と言えば、受験を身近に感じ始めるころなので、数ⅢCを学びつつ、演習も続けることができるのです。
結果として2年間の演習期間を確保することができるのです。

