数学を学んでいく中で、多くの生徒が誤解するところがあります。
今回はそのうちの1つについて書きます。
「論理」は高校数学の基礎であり、数ⅠAで学びますが、数ⅠAを終え、数ⅡBや数ⅢCを学んでいる生徒でも必要条件の定義を問われて戸惑うことが多いです。
AならばBであるという命題が真のとき、BをAの必要条件と言う。
これが必要条件の定義です。たとえば、人は動物なので、動物であることは人であることの必要条件です。
では、「動物であることは人であることの必要条件」と言ったときの必要という言葉と「勉強するのに鉛筆が必要だ」と言ったときの必要という言葉は同じ意味で使っているのでしょうか?
これが同じ意味で使われていることをしっかりと理解している生徒は少ないです。
AならばBであるという命題が真のとき、Aであることを満たす集合(Aの真理集合)がBの真理集合に含まれます。人は動物なので、人の集合は動物の集合に含まれるということです。
そうすると「動物であることは人であることの必要条件」とは動物の集合が人の集合を含んでいることを意味し、もう少しかみ砕くと、「動物の外には人はいない、動物の中でも人でないものが含まれるかも知れない」となります。
つまり、必要とは「外はダメ、内でもダメになるところがあるかも知れない」ということを意味しているのです。
話を戻して、「勉強するのに鉛筆が必要だ」の意味は、勉強するのに鉛筆がないとダメだ(外はダメ)、鉛筆を持っていても集中してないとダメだ(内でもダメになるところがあるかもしれない)ということになり、「動物であることは人であることの必要条件」と言ったときの必要という言葉と「勉強するのに鉛筆が必要だ」と言ったときの必要という言葉は同じ意味で使われていることが分かります。
次に、必要条件の変形について見ておきましょう。
たとえば、A=B という形の方程式を解くのに、ルートや絶対値が付いていて扱いにくく、その処理のために両辺を2乗して A^2=B^2 を考えることがあります。
これは典型的な必要条件の変形です。
すなわち、A=B ならば A^2=B^2 ですが、A^2=B^2 だからといって A=B とは限りません。
必要条件の変形をしたら、外はダメですから、ここから出てくる解以外には解はありません。しかし、内でもダメになるところがあるかもしれないので、余分の解が含まれるかもしれません。
ということで、必要条件の変形をしたら、必ず十分性をチェック(余分の解があればカット)しなければなりませんが、そもそも必要条件の変形をするところで何らかのコメントを加えて記述すべきです。
具体的に書きましょう。
その他の典型的な必要条件の変形として分母を払うというものがあり、これを例にとります。
A/B=C を A=BC と変形するのは必要条件の変形です。こういう場合は、分母を払う前に「まず、B≠0 であり」といった記述をします。
記述は解答は答えに至るまでのメモ書きではなく、自分が考えたことを人に伝えるためのものです。正しく考え、それが伝わるような記述をすることが必要です。
実際、こういったことを理解して書いている解答とそうでない解答は大きく異なります。仮に最後の答えが合っていたとしても、論理がしっかりしていない解答や、言葉の使い方がいい加減な解答は見苦しく、減点を免れることができません。
言葉の使い方がいい加減な例も見ておきましょう。
よくある例としては、「f(x) の解が …」といったものがあります。f(x) は関数であり、解などというものは存在しません。「f(x)=0 の解」と書いてほしいところです。
f'(x)= … =0 もよくないです。f'(x)= … までは関数を考えていて、… =0 は方程式を考えています。続けて書くと、f'(x) は恒等的に0なのかと思ってしまいます。「f'(x)= … であり、… =0 を考えると …」のように記述してほしいです。
正しい記述をすることが必要です。つまり、ちゃんと記述しないのはダメということです。
