高校受験の新しい方法

入試

 「中学受験 vs 高校受験」のところで、高校受験をすると高校数学に入るタイミングが中高一貫校と比べて1年以上遅れることが原因で、演習期間を確保するのが難しくなることについて書きました。

 ところで、中学数学と高校数学で学ぶ量の比はどのようになっているのでしょうか。

 もちろん、難易度は比較にならないほどの差がありますが、単純な量を調べてみても、高校数学は中学数学の5倍以上になっています。

 それなのに、高校受験をする場合は中学数学と高校数学を学ぶ期間が同じで3年ずつになるのはバランス的に問題があるのではないでしょうか。

 中学数学と高校数学で量の比は1対5なのに、かける時間の比は1対1ではバランスが悪いのではないかということです。

 高校数学を学ぶ予定のない中学生への配慮で、そういう時間配分になっているとは思いますが、高校数学まで学ぶという前提に立てば、このバランスの悪さは改善すべき課題です。

 今回は、この課題を考慮した上での「高校受験の新しい方法」について書こうと思います。

 

 まず、稲荷塾での進め方を紹介しておきます。

 「授業効率2倍化」のところで書いた授業方法は中学数学にも適用され、中学数学全体を中1の前半の半年で学ぶことができます。その後の半年で中学数学の演習をし、高校数学に入る準備をします。

 中2の前半では数ⅠAを学びますが、この半年で数ⅡBに進むための基準点を取ることができる生徒は非常に少なく、ほとんどの生徒はもう一度、数ⅠAを学び直すことになり、結局1年間をかけて数ⅠAをものにします。

 ちなみに数ⅠAから数ⅡBに進むための基準点は、3回の単元テストの平均点が50点以上であることとしており、これは河合塾の全統高1模試で偏差値が70程度に相当します。中2の前半が終了した時点でこの基準に到達するのは簡単ではなく、結局、数ⅠAを半年ずつで2回学ぶことになりますが、その結果、中2終了時点で高1生が受ける模擬試験で偏差値70のレベルに至るということです。同様に、数ⅡBから数ⅢCへの進級基準は全統高2模試で偏差値70程度に相当します。

 中3の1年間は高校受験の準備のために使います。

 多くの生徒は中3になるところで高校受験のための塾に移りますが、中には自分で受験勉強をする生徒もいますし、場合によっては高校数学の勉強を続けることもあります。

 いずれにしても、高校に合格後、数ⅡB以降から再開します。

 これが基本的な進め方で、メリットは2つあります。

 1つ目は何と言っても、高校受験した場合の進度の遅れを是正することができる点です。高校合格後、数ⅡBから始めることができるのが大きいのです。

 もう1つは、高校受験に有利になる点です。

 この点は最初から期待していた内容ではありませんでした。すなわち、中2の1年間を高校数学の学習のために費やすのは、高校受験と無関係なことをしているように見えるからです。しかし、そうではありませんでした。

 考えてみれば当然のことですが、高校入試の問題は高校の先生が作るのです。そうすると、どうしても数学の入試問題の題材は高校数学になります。数1Aの内容を材料にしていることが多いですが、数ⅡBの数列が使われることもあります。

 ですから、一般の受験生にとって難しい問題でも、数ⅠAを学んだ立場からすれば簡単に見え、結果として高校受験に有利になります。

 実際、毎年1人ないし2人がこの方法で高校受験をしており、トップ高校への合格率は極めて高いです。

 今年も2人が堀川を受け、2人とも合格しました。そのうち1人は中2のときに数ⅡBまで学んでいます。

 上に、数ⅠAを半年で合格して数ⅡBに進める生徒は非常に少ないと書きましたが、いないわけではないということです。

 さらに言えば、過去には数ⅢCまで学んだ生徒が2人います。彼らは中3になっても、高校受験は大丈夫だからと言って、高校数学の勉強を続けました。

 1人は膳所高校に進み、その後、京大工学部物理工学科に合格しました。もう1人は堀川高校に進み、京大経済学部理系に合格しました。

 2人とも、中2が終わるころには、膳所や堀川の高2に入れてもほぼトップになると思われるレベルに到達していました。

 今年も、中2の1年間で数ⅠAを学び、中3になってからは数ⅡBを学ぼうとしている生徒が2人います。

 相当、本気でないと数ⅡBを学ぶことはできませんが、高校受験にある程度の余裕があるならば、その方がいいに決まっています。

 以上が「高校受験の新しい方法」の概要ですが、現段階ではかなりマイナーな方法であり、稲荷塾内においてさえ、中1で入塾してくる生徒のほとんどは中高一貫校の生徒です。

 しかし、大学受験までを視野に入れた場合、非常に優秀な方法であると言えます。

 是非実行してもらいたいと考えています。

 

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