数学の入試問題を解く上で、知識と技術を持っていることが非常に重要です。
数学は思考力を問う分野だと思われがちですが、その前提としての知識と技術がなければ思考自体が限定されたものになってしまいます。
それに、知識と技術があるということは、それを身につけるために多くの思考を重ねてきた証だと大学側は捉えているはずです。
ですから、知識と技術を使って標準問題を瞬殺する受験生がいたとしても、「知っているだけだ」などと否定的に評価されることはありません。
先日、全日本ベテランテニスのチャンピオンになった友人が「やっぱり技術やで!」と語っていました。
テニスの試合で勝つための要素はたくさんあり、それを身につけるために練習をし、トレーニングをします。しかし、技術がないことには何も始まらないことを強調しての発言だったと思います。
実際、彼が主宰する練習会は他の練習会と一線を画しており、基礎練習が主体になります。
普通の練習会は短時間のアップの後、すぐにゲームに入り、ゲームの中で自分の課題に取り組むことになるのですが、全日本チャンピオンの練習会だけは、まるで初心者がするような地味な基礎練習を淡々とし続けるということです。
非常にストイックです。楽しむという要素は全くありません。勝つために技術を上げるという目標に徹しているのです。
数学の入試問題が解けるようになるための道のりも似ていると思います。
稲荷塾では高校課程を修了した後、演習1クラスで1年かけて知識と技術の完成を目指します。
これができると、神戸大学のように標準問題しか出題されない大学の入試問題で満点が取れるようになります。
京大・東大でさえ、合格最低ライン近くの得点ができるようになっているはずです。その上で京大・東大の問題が解けるようになるための演習2をすれば、効率よく実力を伸ばすことができるのです。
ところが、かなり優秀な受験生でさえ、私が考える「知識と技術の完成レベル」に到達していないことがほとんどです。
知識と技術が不足していると、その問題が解けたとしても、余分の時間がかかり、他の勝負すべき問題にかける時間が足りなくなってしまいます。
ですから、稲荷塾では高3になってから入塾してくるような生徒には、まず演習1レベルの知識を詰め込む作業から始めることにしています。
その時点の学力のレベルにより、やり方は変わり、1カ月で済む場合もあれば、半年かかることもあります。
夏には理科に時間を投入してほしいので、技術が完成するのは早ければ早いほどいいと言えます。
いずれにせよ、一旦技術が完成すると、問題の見極めがよくなります。技術を使って処理すべき問題なのか、時間をかけて考えるべき問題なのか。
そうなると、取りこぼしが少なくなります。
本番では、手を付けた1問目が解けないと精神的に動揺し、本来の力が発揮できないといった事件が起こりがちですが、そういったことが起こりにくくなるということです。
それに、上手くすると大ヒットを放つ可能性も出てきます。
やっぱり、技術やで!
