京大医学部の受験は大変です。
定員が100人しかないので、志望している受験生の中で100番以内に入らなければならず、これは、かなり狭き門です。
実際、200番ぐらいだとD判定になり、京大医学部志望者中200番というのは、他のどの理系学部でも余裕でA判定になるレベルです。
つまり、学力的に相当に高いところまで来ていても合格は遠いということで、100番から200番ぐらいの受験生は精神的に追い詰められることになります。
単に知識が足りないということであれば、それを埋めれば成績が上がりますが、相当、やり込んだ状況でなお足りないとなった場合、一体、何をどうすれば成績を上げることができるのだろうかと苦しむということです。
特に、浪人して100番に入っていなかったら、出願できない可能性が高いです。
もしダメだったら、もう1年頑張ることになるわけですが、そうして受かる保証はなく、苦しい状況があと1年続くことに耐えられないと感じるからです。
ところで今年、私の塾からは2人の京大医学部合格者が出ました。1人は現役生A君で、もう1人は浪人生Bさんです。
Bさんは100番の中に入っていましたが、それでも阪大医学部に志望を変えるべきか、かなり迷っていました。
一方、A君は冠模試4回の中で一番よかったものが120番ぐらいだったので、最後までぎりぎりの闘いでした。この子の特徴は精神的にすごく安定していることで、苦しいはずなのに、するべきだと自分で決めたことを淡々と実行し続けました。京大医学部を目指すと決めたのが高1の終わりごろだったので、数学、理科、英語すべてが後手にまわる中、よく頑張ったと思います。
さて、京大医学部の二次試験の配点は、数学250点、理科300点、英語300点、国語150点の合計1000点です。共通テストの配点が275点なので、二次試験の配点は共通テストの4倍弱になっています。
理系なのに、数学より英語の方が配点が高いことも特徴です。(入学後の勉強を考えると、数学よりも英語の方が重要そうなので、そうなっているのかもしれません)
ですから、英語が思いっ切り強い必要があります。他の理系学部ならば、英語で5割ほど取っておけばハンデを背負うことはなく、数学と理科での勝負になるのですが、医学部なら6割でも足りず、7割はほしいのです。
上に書いたBさんに至っては冠模試の英語で8割を取りました。ちなみに共通テストは英語と国語で満点でした。
ここで、「英語のやり込み方」について触れておきます。京大の英語は読め、訳せとしか要求してこないので、読めれば勝ちです。そのために、ボキャブラリーを増やすことは必須で(英単語の覚え方は別の回に書こうと思います)、それなりの長文を毎日1本は読むといった努力を続ければ次第に読めるようになっていきます。
英作については、直訳しても点にはなりません。まず、日本語が難しいので、一体何を言っているのかを平易な日本語で表現し直すことから始めなければなりません。これができたら、できるだけ簡単な英語で言い換えていきます。やはり、トレーニングが必要です。
次に理科の完成度も高いものが要求されます。
他学部では6割を最低ラインとして7割を目指すところ、医学部では7割を最低ラインとして8割以上を目指すことになります。
当然、準備も早く始めなければなりません。
通常、高3の夏休みに数研の重要問題集をやり込んで、秋からは冠模試を収録した問題集で1人模試をするのが必勝法になります(拙著「小さな数学塾のヒミツ」に理科の勉強法をまとめたところがあり、回を改めてこちらにも転載します)。しかし、医学部を目指すのであれば、この計画を前倒しにして、高3の夏休みに入る前には理科1科目について重要問題集が終わっているぐらいであってほしいのです。
理科は投入した時間に比例して点が伸びる傾向が強い科目ですから、とにかく、時間をかけることが重要だということです。
ところが、ここで一つ問題があります。演習に入る前に一通りの学習が終わっていなければならず、学校の進度が追いついていないことが多いのです。特に公立高校では、高2終了時点で高校課程を修了するなどということは不可能です。これが、公立高校からは京大医学部や東大理Ⅲに受かりにくいことの原因になっています。
では、学校での勉強が終わっていなければどうするか。
旺文社の基礎問題精講などを使って、一通り習ったのに近い状況を作ります。具体的には、問題文を読んだらすぐに解説を読み、解説を理解するために参考書を使います。これをすれば、最低限の知識が得られるとともに、どのようなことが入試で問われるのかが手っ取り早く把握でき、重要問題集に入る準備ができます。
準備を早くして、十分な演習をしてほしいです。
最後に、数学も7割以上の得点がほしいです。
といっても、数学の得点は安定しにくく、最も怖い科目であると言えます。
理科は1問が非常に長く、知識的なことから始まり、細分化された問いに答えることになるので、実力通りの結果になりやすいです。つまり大崩れしにくいという傾向があります。
これに対して、数学の1問は解けるか解けないか、オールオアナッシングになりやすいのです。そういうこともあり、1問目が解けないと、かなり焦ることになり、結果として、大崩れしやすい科目になっています。
本番の緊張感の中では、実力のある生徒でも本来の力が全く発揮できないということが起こりうるのです。
ですから、私は1問15分、15分かける6の90分で全体を解くことを勧めています。数学の試験時間は150分ですから、残る60分を使って、完答出来そうな問題から仕上げていくわけです。
一見、面倒に見えますが、意識して取り組めば誰でもできるようになり、何より、全体を冷静に見れて、持てる力を最大限発揮しやすくなります。
しかし、この作戦が意味を持つためには、まず、実力をつけることが先決で、「京大・東大の数学はなぜ難しいのか」で書いた演習の第二段階を実行することが要求されます。
明確な目的意識を持って演習をし、盤石の実力を身につけましょう。
京大医学受験について、参考になると思われることを書いてきましたが、ここでは強者同士の闘いになるので、わずかな良さを求めることになり、苦しい期間が続くことが想定されます。
どんな困難にも動じない、精神的な強さを持って頑張ってほしいです。

