長年、京大の入試成績の「開示」はゴールデンウィーク明けぐらいに届いていましたが、ここ数年でそれが少し早くなり、連休前に届くようになりました。
受験した本人は、実際の自分の得点がどうだったのか、ぎりぎりだったのか、余裕があったのか等、合格発表とはまた違ったわくわく感をもって開示を待つのです。
塾では昨年、合格最低点に対して1点差で合格した生徒がいましたし、もちろん、その逆も起こり得ます。予備校講師をしていたころ、私の予備校での京大クラスは理系が80人、文系が40人ぐらいでしたが、そのぐらいの人数になると、ほぼ毎年、1点未満の差でダメだった生徒がいました。
入試の得点は各学部の傾斜配点により換算されるので、端数が生じ、そういった過酷な現実が生まれます。そして、僅差で落ちたことが分かった生徒は例外なくひどく落ち込みました。
共通テストでもう数点取っておけば、とか、あそこでミスをしなかったら、という後悔が押し寄せてくるということです。
塾もまた、特に数学については予想していた得点とどのぐらいずれているのかが大きな関心事ですし、もし、予想通りであるならば、他教科との兼ね合いの中で、してきたアドバイスは適切だったのかどうかを考える上で、この開示はすごく参考になります。
さて、今年は稲荷塾から8人の生徒が京大を受験し、6人が合格しましたが、受験した生徒たちの開示を見ながら、合格しやすい得点パターンがあることを確認しつつ、そのパターンに当てはまらない例外的な受かり方をした生徒もいて、驚かされました。
まず、医学部に受かった2人は、理科でそれぞれ8割、7割5分の得点をしていました。医学部では理科で7割以上は必須条件だと思います。
数学は難易度により変動しますが、2人のうち1人は7割5分取っており、これが一般的なパターンだと言えます。ところが、もう1人は5割ちょっとでした。ただし、その子は英語が強く、何と8割も取っていたので、数学でのビハインドを補っていました。
ところで、二次試験における最低ラインの得点とはどのぐらいでしょうか?
医学部の配点は共通テストが275点、二次試験が1000点になっており、共通テストがボーダー付近の240点だったとすると、合格最低点の877点から240点を引いて637点、二次試験では約6割4分の得点が必要になります。この割合は問題の難易度によって変わり、昨年だと約7割が最低ラインでした。
国語で7割の得点をするのは現実的ではありませんから(6割でも難しい)、それをカバーするために数学、理科、英語で高得点したいと考えることになります。
このうち最も可能性が高いのは理科で、理科は得意か不得意かということ以上に、投入した時間に比例して点が伸びるという傾向があります。つまり、理科をやり込んで、どんなに低くても7割、できれば8割以上の得点をするということは可能で、もし8割取れれば、数学と英語で7割取れれば受かると計算することができます。
ところで、上に挙げた、数学が5割ちょっとだった子は例外です。英語で勝てるという見込みがあったことと、今年の数学がやや難化したことで、数学で大差を付けられることを回避できたのだと思います。
工学部情報に受かった子も例外です。英語と国語で負け、理科もほとんど点を稼げていない中、数学で8割強の得点をして合格しました。
医学部と同様に二次試験で取るべき得点率を計算しておくと、工学部情報は5割8分程度です。工学部全体の中での最低ラインが5割であることを考えると、情報はかなり高いと言えます。
やはり、理科で7割以上の得点をするのが必勝パターンですが、英語で勝った医学部の子とは逆の意味で数学の難化に助けられたことになりました。数学で大きな差を付けることができましたから。
ちなみに、「数学の難化」は結果として事実ですが、私個人は去年より易しくなったと感じていました。それは「くじと順列」のところで書いた通り、塾の数ⅠAテキストと演習1クラスの演習問題に出題された京大の問題とそっくりな問題があったからです。6問中2問を押さえてしまえば、残る4問のうちの半分を取るだけで7割程度の得点になるわけで、だから易化したと判断したのです。
数学で8割以上取って工学部情報に受かった子も私と同じように感じたようで、特に6番の期待値の問題文を読んだときは笑ってしまったと報告してくれています。
こうしてみると、確かに運の要素も存在します。
しかし、幸運を引き寄せるのも実力のうちで、運頼みにならないようにしないといけません。

